ポリイオンコンプレックスについて

ポリイオンコンプレックス(カチオンコンプレックス)について

ポリイオンコンプレックスとは、マイナス(アニオン)とプラス(カチオン)を持つポリマー(高分子)の物質同士のイオン反応であり、ポリアニオンとポリカチオンを水溶性液中で混合すると強い静電相互作用により水溶性だった物が難溶性の物質が作られることをいいます。
現象として、透明な水溶液が二つの極性の高分子を反応させることで白濁したり、テープ状の物質が作られたり、ゲル化や粘性が高くなる等の反応があります。
この反応は古くから化学反応として知られているがポリイオンコンプレックスの形成機構やコンプレックス内部の高分子鎖のコンホメーション・パッキングなどについては、いまだに十分な知見が得られていません。
理解を困難にしている原因の一つは、コンプレックス形成が不可逆的に起こり、コンプレックス構造がしばしばその調制条件に依存する点にあります。
これを美容施術で応用する場合、ポリアニオンとポリカチオン(極性の違う高分子同士)を毛髪上でポリイオンコンプレックスの反応を起こさせ、難溶性物質を毛髪に付着させ、加熱及び脱水を行うことで被膜を毛髪に吸着させ、被膜感、ツヤ感、感触、剛性等の持続性を向上させることが目的となります

なぜ美容技術に必要か?

パーマ・カラーの施術において、損傷している毛髪部分はマイナス(アイニオン)に帯電していると考えられているがゆえに、ほとんどのトリートメント剤はプラス(カチオン)系の成分を取り入れ、損傷部分と静電相互作用により吸着するように仕向けられているが、その吸着部分は薄く剥離しやすいのが難点であり、また損傷部分以外の電荷は必ずしもマイナス(アニオン)ではなくそのほかの部分ではトリートメントの効力が低くなる欠点があります。
その損傷部分からの剥離を防ぐために化学反応であるポリイオンコンプレックスを利用する施術が考えられました。これが、トリートメント成分を補充して、ティージュでゲル化させるアデュール・パセ頭皮ingヘアエステシステムです。

通常のポリイオインコンプレックス施術

カチオン性高分子原料

 

A液ー1 カチオン化セルロース

A液ー2 ヒドロキシプロピルキトサン

A液ー3 ヒドロキシプロピルトリモニウムキトサン

アニオン性高分子原料

 

B液ー1 アニオン性キトサン

B液ー2 アニオン性被膜剤


還元(1液処理)後に、カチオン性高分子A液ー1と2、または3を重ね付け、または混合して噴霧し、続いてアニオン性高分子B液ー1,2を重ね付け、あるいは混合液を重ね付けし、ドライ・ブロー・平アイロン。

これがポリイオンコンプレックスを用いた縮毛矯正の技術の基本となります。

 

上記の材料を用意し毛髪の損傷度合いにより、量また濃度を設定管理します。

ポリイオンコンプレックス材料の使用量が多くなると被膜感も上がるが、施術中に十分な脱水が必要で高度なアイロン技術も必要となり、毛髪診断と材料、濃度、温度設定が重要となります。

 

美容技術として導入を考えた場合、損傷をカバーする、または珪素等を使用したシリコンコーティングとは違い、施術後のパーマ、カラーの再施術ができるなど魅力的ではあるが、化学的知識と施術経験が要求され導入にはハードルが高すぎます。

おしむらくは簡易に施術できるのであるならば、トリートメントコーティング施術としては非常に高度な美容技術であると言えます。

アデュール・パセのポリイオンコンプレックス

ティージュの場合

 

スキンケア・ヘアケア美容液であるティージュは、ボトル内ではpH8.0の弱アルカリ性を示しますが、手で切る、肌や毛髪に塗りこむなどの施術による高分子の格納状態を壊した場合、格納されていたH+水素イオンを含有する成分が放出され、対象の皮膚・毛髪のpHの状態に関わらず、緩衝作用(pH調整作用)により、pH4.5~5.5の弱酸性領域に集約します。

ラスィーヌトリートメントの場合

 

ラスィーヌトリートメントは、陰イオン界面活性剤(アニオン)と陽イオン界面活性剤(カチオン)を物理的に混合させているのが溶剤としての特徴です。

ポリアクリル酸Naは高分子剤としての特性を持ちながら、陰イオン界面活性剤(アニオン)としての性質を併せ持ちます。

この2種類の界面活性剤は、混ぜても化学的には安定しないが、独自技術により物理的に混合させており、容器内部においては経年経過しても分離することはありません。

使用時に、水分に触れると容易に分離し2種類の界面活性剤の特徴を表し効果を発揮します。

損傷毛内部の空洞(ダメージホール)はマイナスに帯電しており、ここの陽イオンが引きつけられ、かつ分離した陰イオンが相互にイオン吸着することにより、より強く浸透します。

例えるなら磁石のように引きつけられるイオン吸着という形で浸透することにより、加温などの余分な工程を経なくても浸透します。

 

トリートメント浸透後、ティージュを使用することにより陽イオン界面活性剤(カチオン)とティージュに含有する高分子(ヒアルロン酸Na,ポリアクリル酸Na)が反応(補足参照)することにより、毛髪内部においてゲル化膨潤し空洞を埋めることにより毛髪の損傷を補います。

この膨潤時に毛髪表面に残るトリートメント成分も引き込まれるため、手触りなどの感触も変化します。

またラスィーヌトリートメントの成分であるジメチコン(シリコン)は、毛髪内部において空洞化(ダメージホール)の構造として使用されるが、使用されない必要以上の成分は高分子の持つミセル作用(界面活性剤)により粒状化され剥離します。

このことにより一般的なシリコン皮膜は形成されず、後日の薬剤の浸透を阻害することもありません。

 

また、アデュール・パセ システムのサロン環境に寄与するものとして、アルカリ剤の残留による排水設備の汚染除去があげられます。アルカリの付着物がフイヤージュにより弱酸化され、前記の高分子の持つミセル作用により剥離されるからです。

毛髪空洞内部(ダメージホール)は水分量が低下し乾燥すると帯電(静電気)している。

マイナスに帯電している状態に陽イオンが吸着される。(トリートメント成分が吸着)

毛髪内部空洞を埋めたトリートメント成分であるカチオンにティージュの高分子が反応してゲル化膨潤。

表面のトリートメント成分は、内部膨潤時に引きこまれ、必要以上の余分なシリコンなどは、ポリアクリル酸Naのミセル作用により粒状になり剥離する。


補足 高分子吸収剤(凝集剤)ポリアクリル酸Naの特徴であるゲル化について

 

ポリアクリル酸ナトリウムゲル(PAAゲル)に代表される高分子電解質ゲル。いわゆる「高吸収樹脂」は、その網目構造により、自重の数百倍から数千倍の水を吸収し膨潤する高分子材料です。

このゲルの水中での強力な吸収・膨潤作用はゲル中のイオンが剥離することにより

①高分子ゲルの網目に固定されたイオン(たとえばPAAゲル中のカルボン酸陰イオン)同士の静電気反発および

②高分子ゲルの網目に固定されていないイオン(たとえばPAAゲル中のナトリウム陽イオン)がゲルの内部に閉じ込められていることにより生じる内側と外界(水)との間の浸透圧によるものと考えられています。